実はエンジニアをバックグラウンドとしていて、最近はプロダクトコードも書いたりしている、ガイアックスの峯アラムです。
さて、ここのところブロックチェーン界隈で話をする中で、トークンやNFTといった言葉に混ざってDAO(ダオ)というワードを耳にすることも増えてきました。しかし、なんとなくDAOという言葉を使っているものの、ちゃんと理解していないという方も多くいらっしゃると思います。今回このブログでは、DAOとは何かをたった5分でわかったつもりになれるよう説明をしていきたいと思います。なので、DAOを知ってる気になるために5分ください!
そもそもDAOって何の略?
DAOはDecentralize Autonomous Organizationの略です。そもまま直訳を単語の順に並べると分散 自立 組織 となります。日本では「分散型自律組織」「自律分散型組織」などいくつかの言い方をされています。私、個人的には「自律分散型組織」のほうがしっくりきています。
DAOは組織
次にDAOの中身の説明に入ります。DAOとはあまたある組織のうちの一種です。それがどんな組織かと言うと、参加者が自然と集まり、自律的に動いている組織です。更にそれが一箇所に固まらず、離れた場所でそれぞれ勝手に動いているんです。
なんのために集まる組織?
でも、なぜそんな変わった形態で組織が動いているのでしょうか。実はDAOにはそれぞれ大きな目的があります。例えば地方創生とか、別荘やゴルフ場などの共同保有とか、パブリックブロックチェーンの開発などです。DAOにはこういった実現したいビジョンがそれぞれ掲げられています。
どんな人が集まるのか
こういった目的をもって集まる人達には、特徴があります。それは、その目的を成し遂げたいと思っているけど、一人では達成不能で、みんなの力を必要としていることです。しかも他力本願ではなく、この組織に自分なりの方法で関わることによって、加担して成功させたいと思っているのです。お金を出す、労働力を提供する、SNS等で拡散する、イラストを書く、アイデアを提供する、技術力を提供する、DAOが作るものの顧客になるなど、そこには色々な関わり方があります。DAOとはこういった思いのある人の集まりです。
目的達成方法はルールベース
目的があり、人が集まりました。次に目的を達成する方法についてです。会社のような通常の組織だと、取締役会のような意思決定機関があって、そこでの決定事項に従い、社員が働きます。しかし、DAOでは、目的を達成するための方法が、ルールとしてスクリプト化されています。例えば、DAOがNFTを売ってお金を集め、目的を達成するために参加者がお金の使い道を提案し、参加者同士の投票で使い道を決めるといったことをします。誰か一人の人間や、数人の意識決定機関だけでは決めません(たまにそういうDAOもありますが・・・)。ルールの変更も投票を用いて行います。
インセンティブは組織継続のため
さて、目的とルール、そしてそれを実施する人が集まりました。しかし、このままでは1度問題を解決したら目的達成です。すると、そのまま飽きて離れていくなんてことが起こりかねません。そこで登場するのがインセンティブです。頑張った参加者にはご褒美をあげます。例えばビットコインならマイニングを頑張った人に報酬を与えます。1BTC500万円、マイニングフィーが6.25BTCならば3,125万円もの報酬を渡します。組織を持続可能にするために、DAOが生み出したお金や価値は、頑張った参加者に還元します。それ以外にもガバナンストークンと言って、DAOの投票権となるトークンを頑張りに応じて配ったりします。ご褒美をもらい続けられるのであれば、そこに人は居続けますよね。
DAOの4要素
ここまで出てきた、ビジョン、メンバー(ユーザー)、ルール、インセンティブ、この4つを私はDAOの4要素とよんでいます。この4要素がいいバランスで整っていることが、DAOを成り立たせ、継続的な活動を行っていくために欠かせないものになっています。
ブロックチェーンとDAO
実は、ここまでブロックチェーンが全く登場しませんでした。しかし、ブロックチェーンはとても重要な役割を果たします。まずDAOに欠かせないものはルールです。ブロックチェーンは一度書いたら勝手に書き換えられない場所です。ルールの保管場所としては強力です。そして、そのルールを文章ではなく、スマートコントラクトというプログラムで表現するともっとすごいことが起こります。プログラムは人によって解釈が変わると言ったことはありません。誰が実行しても同じ結果が返ってきます。ルールに読み手によって解釈が変わる文章のような曖昧さがあると、裁判所などで最終判断が行われてきました。これがプログラムによってルールを作りそれをブロックチェーンに書き込むと、解釈のブレないクリアなルールが作り出せます。
誰かの都合で止められない組織
DAOという組織のもう一つの特徴は、誰か特定少数の人間や会社の都合で止められない点です。運営企業が撤退するとなくなるサービスやアプリと違い、スマートコントラクトに書き込まれ仕組み化されたルールはブロックチェーンという誰にも止められない場所で動き続けます。ビットコインが誰にも止められないように、DAOも人がいなくなるまで動き続けます。主体に企業や人が絡むと、途中でやめてしまうリスクがあるのに対し、ブロックチェーンベースのDAOは誰かの都合だけで止まることはありません。
現時点でスマートコントラクトやそれに準ずるソフトウェアのみでルールを表現しきれているDAOは少ないですが、こういったピュアなDAOを作っていくために日々研究や開発が行われています。逆に言うと、現在のDAOの大半は、誰かの都合によって止まってしまう可能性が十分にあります。チャットに使われているDiscordや投票に使われているSnapshotなどはシングルポイントになります。
DAOの力を使って解決するもの
DAOは誰にも止められない新しい組織の形です。この仕組みを使って解決できる問題はたくさんあります。お金を集めて大きなてこを動かす。人を集めて、一人じゃできないことを行う。特に、社会共通の課題の解決をDAOで作った仕組みで行うことで、永続化した課題解決が可能になります。これこそが本当に世の中にインパクトを与える意味のあるDAOになるでしょう。
JBAでは、こういったDAOがたくさん生まれることも願って、ブロックチェーンやDAOの普及そして活用促進のため、人や企業をつなぐ業界団体です。もし、こういった活動や仕組みに興味があるという方いましたらぜひ、info@jba-web.jp までご連絡ください。
一般社団法人日本ブロックチェーン協会 理事
株式会社ガイアックス web3事業本部長
峯 荒夢
Xアカウント:@aramsan