峯 荒夢 (JBA理事 / 株式会社ガイアックス Chief web3 officer)
JBAは、2025年7月9日(水)より「JBA web3基礎研修」(全6回)を開講し、8月20日(水)に最終回を迎えました。本研修には、26社・106名が参加しました。座学とハンズオンを組み合わせた実践的な設計とし、web3初学者を中心に、新入社員からマネジメント層まで幅広い方々にご参加いただきました。終了後の受講者アンケートでは、89.5%の方が「来年も同様の企画があれば、後輩や同僚に薦めたい」と回答しており、本研修が体系的かつ効率的に知識を習得できる機会となったことがうかがえます。ここで、全6回の講義内容とその意義を改めて振り返ります。
第1回 web3の基礎概念とウォレット

web3の基本概念や歴史、ブロックチェーンの仕組み、暗号資産の基礎を整理して学び、さらにウォレットの役割について理解を深めることができました。特に、MetaMaskを使ったハンズオンを通じて、理論を実際の体験につなげられたことは貴重な第一歩となりました。
第2回 NFTの基本と利用事例 / ブロックチェーンゲーム

NFTの基本概念や法律上の位置づけを学んだうえで、ブロックチェーンゲームにおけるNFTの活用について理解を深めました。また、NFTの市況や具体的なユースケースについても学ぶことができました。さらに、ハンズオンではThirdwebを用いてNFTを実際に発行し、学びを実践的に確認する機会となりました。
第3回 DApps開発の基礎
分散型アプリケーション(DApps)の概念と構成について丁寧に解説いただき、スマートコントラクト開発で最低限押さえておくべきポイントを学びました。非エンジニアにも配慮した進行のもと、ERC-721のコントラクトを実際にデプロイする経験を通じて、スマートコントラクト開発の基本的な流れと実務上の手順を理解することができました。
第4回 DID/VCの基本とDeFi (分散型金融)
DIDおよびVCの理念と制度を整理するとともに、DIDの生成からVCの活用に至る一連のフローや具体的な活用事例を学ぶことで、技術革新の最前線に関する理解を深めました。これにより、DID/VCの仕組みを実務でどのように応用できるかについての視点も得ることができました。
分散型取引所(DEX)の基本概念や動作原理を理解するとともに、ビジネスにおける活用事例や現状の課題についても学びました。ハンズオンではUniswapを用いたスワップ操作を体験し、DEXの仕組みについて理解することができました。
第5回 DAOとその仕組み
DAO(自律分散型組織)を理解するために必要な要素やその意義を整理し、種類や法制度上の位置づけ、そして技術的な基盤について解説いただきました。さらに、DAOやRWA(実物資産)での事例を取り上げていただき、多面的な視点からDAOの仕組みを学びました。ハンズオンでは実際にDAOに参加し、議論・決議を体験することで、楽しみながら理解を深めることができました。
第6回 法制度の理解とワークショップ
最終回では、web3を取り巻く法的枠組みについて牧野法律事務所の牧野裕貴弁護士からわかりやすく解説いただきました。特に好評だったのは、トークンの種類や用途による法的区分を整理したフローチャートです。トークンや暗号資産、電子決済手段の違いについて、SuicaやPayPayのような前払式支払手段やポイント、株式などとの比較を交えながら解説いただき、参加者はケースごとの取り扱いを直感的に理解することができました。こうした具体例を通じて、web3に関わる法律や規制の複雑さを整理し、実務でどのように対応すべきかを考える良い機会となりました。
理解度テスト
各講義の終了後には、理解度を測るためのテストを実施しました。講義で学んだ内容を振り返りながら取り組むことで、知識を定着させるとともに、理解が曖昧な部分を明確にすることができました。コンテンツと理解度テストを組み合わせることで、受講者は「知識として聞いたこと」を「自分の理解」として結びつける機会となり、学習効果を一層高めることができました。
ワークショップ
web3基礎研修の集大成となるワークショップを実施いたしました。これまでの講義を通じて培った知見を実践的に活かし、参加者自らが「未来のあたりまえ」を構想することを目的として開催されたものです。
参加者は基礎・ウォレット、NFT・ゲーム、Dapps開発、DID/VC・DeFi、DAOの5つの分野に分かれ、現地およびオンラインの双方から参加しました。まず個人ワークにて課題や理想像を整理した後、グループディスカッションを通じて社会実装に向けた具体的な提案を検討。各チームは発表を行い、質疑応答やフィードバックを通じて多角的な視点を共有しました。
議論の中では「利用者にとっての利便性向上」「社会的意義の明確化」「導入に向けた課題解決の方向性」など、普及の加速に資する多様な着想が提示されました。本ワークショップを通じて、単なる技術理解を超え、web3の実社会における実装を主体的に探究する姿勢が醸成されたことは大きな成果といえます。
懇親会
終了後には、懇親会を開催し、受講者同士が親睦を深める場を設けました。形式的な研修にとどまらず、横のつながりが自然に生まれ、業界人材同士のネットワーク形成へとつながったことも大きな成果でありました。
受講者の声
・自社で準備すると大きな負担となる研修を、JBAで質の高い形で実施いただき大変助かりました。
・実際にウォレットやNFTを操作するハンズオンで、理解が深まりました。
・トークンの取得や取引の流れを自分の手で体験でき、達成感と自信が得られました。
・スマートコントラクト開発やDAOへの参加など、普段触れない分野も実践的に学べました。
・DeFiや法律上の整理など、難しいテーマも分かりやすく解説され、苦手意識が解消されました。
・新規事業の検討や既存事業へのフィードバックに直結する学びとなりました。
総括

本研修は、「網羅的・体系的・効率的な理解」を志向しつつ、座学とハンズオンを融合した実践的アプローチにより、web3に初めて触れる方々にも理解と自信を育む設計でありました。各回の講義における解説と操作体験のバランスについては受講者から高い評価をいただき、研修の目的を十分に果たすことができたものと考えております。
今後もJBAは、web3人材の育成および業界の健全な発展に貢献してまいります。
ご参加いただいた皆さま、ご協力いただいた関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。